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【ピース又吉】新作小説「劇場」の読書感想・レビュー|単行本発売決定(5/11)

又吉劇場本レビュー
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※2017/3/25更新。単行本発売日決定!

こん劇場!

芥川賞作家でお笑い芸人のピース又吉直樹さん待望の第二弾「劇場」が新潮3月7日号に掲載されました。今回のテーマは「恋愛小説」異例の4万部発行から緊急重版で1万部追加の5万部ということでニュース・業界で話題に。反響を受けて、単行本も発売決定!

芥川賞を受賞した「火花」は300万部で文庫化・そして映画化と大ヒット。今作も波に乗っている、ざっくり本作のあらすじや感想を書いていきます。

劇場とは

・お笑いコンビ、ピース又吉直樹さん作の第二弾

・長編300枚の恋愛小説

・異例の4万部発行

あらすじ

書き出し

「まぶたは薄い皮膚でしかないはずなのに、風景で透けて見えることはまだない」

状況描写が自身の妄想とともにしばらく展開されていいきます。目に写ったものに対して、回想シーンや自身の妄想を巡らせていく。ここが太宰治チックな状況描写として今回も冒頭から表現されています。妄想シーンは多い感じ。

夢見る劇作家と支える彼女の淡い恋物語

あてもなく漫然と過ごしていた主人公の永田。だが、ある日、画廊に立ち寄った時に何か合い通じるものがあったと思い、衝動的にある女性に話しかける。「沙希」という青森から上京して服飾の大学に通う女子大生。完全にストーカー的な出会い方すぎる。しかし意気投合をします。

劇団「おろか」を子どもの頃からの友人である野原と立ち上げるが観客からの評価はいまひとつ。依頼されて脚本も書いているが、それでは食べていけず。

劇団員とケンカ別れしても、沙希だけはこんな自分のことを受け入れてくれるような気がして、それについ甘えてしまう。いつしか、沙希の家に転がり込むように。

他の人と仲良く話している気がすると永田はひねくれてしまう一面も。ときより何を考えいるのかわからないと沙希は漏らす。

仕事が舞い込む

ケンカ別れしたひとりの青山と再会。執筆の仕事が舞い込んでくる。徐々に仕事が入ってくるが、一方で同世代の小峰という劇作家がすばらしい脚本を書いて会場や世間を騒がせていくことに焦りを感じる。やはり自分も劇団として売れたい気持ちがあるがどうにもならない。

気づけば沙希は大学を卒業し、永田を支えるため昼も夜も仕事に明け暮れていた。いつか花開くことを夢見て…

ついに限界を超える

結局何も変わることがなく、進展することがなくお互いに言い合えないまま、いたづらに時が過ぎていった、虚しくも時間だけが過ぎていく中でどこかけじめを付けられずにいた。沙希は27歳を過ぎていた。

沙希が体調を崩しがちになり仕事を辞めることに。仕事だけではなく、今までのことが一気に溢れ出てきて燃え尽きたのかもしれない。青森の実家で一旦、ゆっくり休むことに。

しばらくして体調の戻った沙希は再び東京で永田と再会するが…

感想・レビュー

★★★★☆

独特の世界観

火花よりもかなり読みやすい作品というのが正直な感想。そして又吉さんの体験にモドづいたオリジナティさが出ていると感じました。

どこかでリアルでリアルじゃない、切なそうでどこか温かい。

ハッピーエンドでもなくかといって暗い気持ちにもさせない。

やはり会話のシーンが特徴的。お笑いのネタを見ているようなブラックでクスッとさせる部分が多々出てきます。

自身を投影

ところどころで偏屈で面倒くさい持論を展開して青山とメールで良い争いをするところ、

永田が食べたクレープの中に差し歯が入ったのを沙希が食べてしまうシーン、

そしてサッカーゲームでキャラクターをFW太宰治、GK井伏鱒二といった小説家の名前にしてプレイしている場面。

このあたりが又吉さんがテレビ番組でエピソードトークとして話しているような気がしたので、永田は自分自身を重ね合わせているのでしょう。

文学的な深みや奥行きというよりも又吉さんのキャラクター性から裏打ちされた体験談を吹き込んでいるような感じといえるのかもしれません。

この時代だからこそ読みたい

恋を忘れてしまった人、今夢に向かってもがいている人に読んでほしい作品。

将来なんとかしたい、でも先が見えない…

本音を言いたい、言えそうで言えない、誰かに受け止めてほしい、認めてほしい…

特に、書き物をしているライターさん、ブロガーさん、自分で何かを表現しようとしている方には葛藤や苦悩や喜びの微妙な感情の揺れ動きを全身に感じ取ることができる作品ではないかと思いました。

以前、月9ドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」にもあったような切なくも、歯がゆい若い頃ならではの恋愛模様が描かれているように感じました。

単行本発売決定

・2017年5月11日発売
・人気アーティスト
・最速単行本化

反響を受けて5月11日に全国一斉発売されます。これほど最速で単行本化されることも珍しいとか。

人気アーティストの大竹伸朗さんが装画を担当。まだ読んでいないという方はチェックしてみてください!

最後に

以上、ピース又吉さんの最新作「劇場」の感想をサクッとご紹介しました。

各々感じるところはあると思うので、ぜひ自分なりの解釈で楽しんでみてください!

現在品薄が予想されますが、劇場が掲載されている「新潮」の最新号はこちらです。

文庫版でますます読みやすくなった「火花」はこちら!